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    DJ大塚広子の「神保町JAZZ」
    2012〜15年掲載

  寒い。寒すぎる。冷たい雨の降る夕方、お茶の水の"安いごはん街道"を歩いていた。忙しくて昼ごはんを食べていない。さらにそんなに時間があるわけでもないので、比較的手早く食べられて、かつ温まるものを食べたい。そう考えつつ目の前を見ると、吉野家があった。
   そうだ、牛すき鍋膳を食べよう!630円だが、ちょうどスマホに50円引のクーポンも来ていたので、差し引き580円で食べられる。ということで入店。16時30分というやや中途半端な時間なのに、結構混んでいる。
   入り口あたりは寒そうなので、店の奥に座り注文。寒かったのでちょっとお手洗いに行く。奥は結構広いんだね。帰ってくると「お待たせしました!」と牛すき鍋膳登場。鍋が火にかかっていてグツグツ煮えていておいしそうだよ。
  鍋の中には、牛肉、白菜、タマネギ、ネギ、豆腐、そしてうどんが入り、漬物(福神漬に近い味)と生玉子がついている。火がついているので、玉子を鍋に入れて玉子とじにすることもできるけど、今日はすき焼きのように生玉子をつけて食べる方式で行こうと、玉子をくるくると箸でかき回す。
   まず肉から食べる。まさに吉野家の牛肉だけど、生玉子をつけることによってゴージャスな感じになるもんですね。おいしくてごはんをバクバク食べる。あっ、紅ショウガももらおうっと。続けて白菜やネギなどの野菜も食べる。甘いタレに牛肉のエキスが加わり、さらに生玉子もコーティングされて、ひょっとすると牛肉よりおいしい。ブリ大根の大根がおいしいのと理論的には一緒だ思いつつ、漬物を食べたのであった。

  食べ進んだあとには、最後に平たいうどんと残しておいた肉と野菜を、生玉子に入れてぐるぐる回して食べる。うどんがこの鍋全体のエキスをすべて吸収していて、さらにおいしい食べ物となっている。この牛すき鍋膳が人気の理由がよくわかったよ。
   体もポカポカしてきた。温かいお茶をもらってもよかったが、充分暖まって元気も出てきたので、「ごちそうさま」とお金を払い、暗くなったお茶の水の街に出た。雨はやんだね。
好評既刊本『かながわ定食紀行


イメージ
外観
店 名 :
吉野家 お茶の水店
住 所 :
神田駿河台2-4 ウィーンビル1F