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    DJ大塚広子の「神保町JAZZ」
    2012〜15年掲載

DJ 大塚広子の神保町JAZZ:人気美人DJ・大塚広子が贈る、珠玉の神保町セレクト!

DJ Hiroko Otuka
幅広く柔軟なJazzの切り口と、徹底した音源追求、繊細かつ大胆なプレイを持ち味に、DJ/イベント企画、執筆活動を行う。全国各地から、スペイン、フジロックフェスティバル、BLUE NOTE TOKYO等に出演。日本のジャズ・レーベル、「TRIO」、「somethin'else」(EMI)、「DIW」(DISK UNION)のMIXCDを監修制作する。

オフィシャルHP http://djotsuka.com

第3回 Chet Bakerを追え!

Hiroko's Selection

  • Turkish Women at the Bath

    @
    Sings
    Chet Baker

    '56年録音。 チェット・ベイカーといえばコレ!と誰もが一番にあげる(ことが多い)アルバムです。 男のナイーブな部分を自然に表してくれている、と男性ファンも多いとか…。 また、ジョアン・ジルベルトが、このチェットの歌い方にインスパイアされて誕生したのが、ボサノヴァだった、と言われている作品でもあります。

  • Tal

    A
    Chet Is Back
    Chet Baker

    イタリアで録音された、'62年当時のヨーロッパを代表する名手達とのコラボレーション。 出所後のチェットは、意気揚々とハード・バップを披露! アップナンバーや、スタンダードをこなす希望に満ちた(?)チェット。 もともと8曲だったLPに、アメリカのブルーバードレーベルに残されたレアなボーナストラック4曲が付いています。

  • Beautiful Africa

    B
    The Touch
    of Your Lips
    Chet Baker

    '79年作。シンプルながら彼しか出来ないような乾いたトランペットに、ダグ・レイニーのギターとニールス・ペデルセンのベースが柔らかく寄り添って、見事な音空間を作り上げています。 この演奏はとても評価が高く、これを機に同年4カ月後に続編が残されています。(『DayBreak』と『Someday My Prince Will Come』)

  • Hats Off

    C
    My Favorite Songs
    The Last Great Concert
    Straight From
    The Heart
    The Last Great Concert
    Vol.2

    Chet Baker

    '86年、待望の初来日を終えたわずか2年後の'88年。 これが彼のラスト・ライヴとなります。 50年代の西海岸を代表するアルト・サックス奏者、ハーブ・ゲラーや、NDRビッグバンドと共演した豪華コンサート! セロニアス・モンクの「Will, You Needn't」も収録。キャリア後期の作品も、味わい深い録音が多く残されています。

若きチェットの名作と、
復活作!

 前回お送りした、ジャズメン第二のお仕事。とくにあのチェット・ベイカーの意外な一面に多くの反響をいただきました!それを受けて今月はイケメン代表ともいえるジャズ界の貴公子、でも実は麻薬常習犯!という話題の多いトランペッター、チェット・ベイカーをテーマに、彼の生きた証となる重要な4作品をご紹介いたします!まずは、チェット・ベイカーの代表作として多くの人が真っ先にあげる@。西のチェット、東のマイルスといわれるほどの人気トランペッターだったチェットが歌手としての人気を確立したのが本作。アンニュイで中性的な歌声と、乾いたトランペットがとにかく穏やかで素晴らしい♪彼の代表曲と言われる「But Not for Me」が楽しめます。この録音の3年後'59年にはイタリアへ渡り、数年後には麻薬事件で捕まってしまいますが、その後17カ月間の拘留生活を終えてはじめに録音されたのがA。まさにタイトルにふさわしい溌剌とした快演なのですが、興味深いのが収録曲「Chetty's Lullaby」。この曲は、チェット・ベイカーが息子を思って獄中で制作した一曲なんですね!チェットは、イタリアへ渡る前の'56年に二度目の結婚をしていて、(奥様はパキスタン人)その間に出来た息子がいました。しかし、この曲が世にでた2年後の'64年には、イギリスの女優さんと結婚し、2人の息子と1人の娘をもうけます…。忙しいトランペッター!(笑)

晩年のチェットも
要チェック!

 70年に入るとまたまた波乱万丈のチェット。歯を失う悲痛な経験を経て'73年にはかつてのライバルであり友人のディジー・ガレスピーがクラブとの交渉を手助けしたこともあり、チェットはジャズ界に復帰します。'75年再び彼はヨーロッパへ向かい'79年に素晴らしい名演を残します。チェット・ベイカー(tp.vo)、ダグ・レイニー(g)、ニールス・ウラステッド・ペデルセン(b)というメンバーで録音されたB。聴き所は、@でご紹介した、「But Not For Me」。黄金時代と、23年経った晩年のチェットをぜひ聴き比べてみてください。チェットのヴォーカルとアドリブ・スキャット、そしてトランペット・ソロと後に続くダグ・レイニーのギターソロとベースもぴったりの絶妙なスイング感!そして、チェットの最後の作品となるC。'88年に死を遂げるわずか2週間前に録音されたコンサートです。ドイツの地方放送局専属ビッグバンドの中でも最も古い歴史を有するNDR(北ドイツ放送協会)ビッグバンドとの共演で、いつもながら朗々と唄うチェットと、迫力あるビッグバンド・サウンドとの対比が素晴らしい。ここでラストを飾るのは@の名作にも収録されている「My Funny Valentine」。彼の最後を見届けるに相応しい哀愁ある演奏が楽しめます。1アーティストの生き様と、その背景を感じながら作品を追っていくのもジャズの一つの楽しみ方ですね。


ライブ情報

  • 7/21(土) 渋谷 JZ Brat
  • 7/22(日) 渋谷 Saravah Tokyo
  • 7/25(水) 鎌倉 Venus Cafe
  • 7/27(金) 渋谷 The Room
  • 7/28(土) 新宿 PIT INN
  • 8/2(木) 新橋 第一ホテル ラウンジ21
  • 8/11(土) 恵比寿 Batica
  • 8/21(火) 六本木 アルフィー
  • 8/24(金) 渋谷 The Room
  • 8/26(日) 鎌倉 Venus Cafe
  • 8/31(金) 仙台 ADD

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