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「街」にも「人」にも歴史あり!神保町紳士録
学生街、オフィス街、本の街、アートの街……。さまざまな顔を持つこのエリアに勝るとも劣らぬバラエティに富んだ面々が、神保町に対する熱い思いを語る珠玉のインタビュー。ここに行けば、こんな素敵な人たちに会える!
Vol.013 高山本店 千代田区議会議員
高山 肇さん
「人とのつながりがある街」
母も私も錦華小学校出身。今の毎日新聞社がある場所で昔は花火をしていましたよ(笑)
−生まれも育ちも神保町だとか?

  正確に言えば、生まれは御茶ノ水にある浜田病院で、育ちはまさにこの古書センターがある場所。当時は五軒長屋でした。友だちを誘いあって錦華小学校(現お茶の水小学校)に通学しました。私の母も錦華小学校出身で、担任の先生も同じ中川先生という名物先生。今の毎日新聞社がある場所は昔は広大な空き地で、ロケット花火をしたり、竹橋のお堀などで遊んでいましたが、身近に行けるのは錦華公園でしたね。今でもあの雰囲気と、あの場所から山の上ホテルを見上げたときの情景はとても感慨深く、心が落ち着きます。当時よりもむしろ今の方が、すばらしい環境であると再評価しています。錦華公園の佇まいは今後も残して欲しいものです。
  以前、錦華小学校という名前を残す残さないで大論争がありましてね。「錦華」という名称を残して欲しいという多くの声を受けながら、結局お茶の水小学校という名称になったんです。その論戦に臨んだ一人として、卒業生として、その名を残せなかったことが申し訳なかった、と今でも少し心に傷が残っているんです。でも、錦華坂と錦華公園、文具店の錦華堂が存続していることが一つの救いですね。

高山 肇さん
古書とは文化の裏打ち。この仕事に誇りを持っています。
−古書の魅力、意義とは何だと思いますか?

  私の父の時代は、司馬遼太郎さんや大岡昇平さんなどがこの店をひいきにしてくれました。あるとき、司馬さんを担当する編集者が、本人からの依頼で海流の本を探しにきたというエピソードがあります。なぜ海流の本を探しに来たかと言うと、例えば船が遭難するという話しがあるとしたら、その船は何日後にどこの浜へ流されていくかを資料で確認してその後の執筆に反映させるため。歴史小説はその当時の自然環境や食べ物、服装やその時代の所作などは資料を入念に調べて事実どおりに書くもの。執筆内容と資料が残存する事実は、その小説の中で適合していないといけないのです。作家は正確なものを検証して執筆する。我々はその手伝いをする。これはまさに誇りといえます。日本のいろいろな物事の事実は資料に記されている、という文字文化の深みはすごいことだと思います。それを古書が担っているということは、大切な日本の文化の裏打ち役であるのではないでしょうか。
  一時期の神保町界隈の古書店は130軒を切る時代もありましたが、現在では160軒以上あります。バブルの時代も土地を売却せずに存続し続け、この文化を守り続けていることは、社会的にも意味のある仕事だと思っています。

−昔も今も神保町で「変わらない」と思うことは?

  神保町の人間は頼まれることが嫌いじゃない。力を借りたいとき「お前が来ないと物事が何も始まらないんだよ」という言い方をすると、予想以上に力を貸してくれます。例えばお祭りの準備で釘を打とうとして「誰か金づち持ってきて」と頼むと、4〜5本の金づちが集まっちゃう(笑)。システマティックに10ずつ10人に頼んで100になる感覚はなく、10のことを10人に頼むと、200にも300にもなる街。それは「自分も役に立ちたいなと」思う人間が多いからでしょう。こういった心意気は今も昔も変わらない、人とのつながりがある街ならではの魅力だと思います。

−街がよりよくなっていくために力を注いでいることは?

  神保町には100年以上の歴史を積み重ねてきた、文字文化という1つの集積がある。これはこの街のかけがえのない財産だと思っています。それに裏打ちされて出版社、作家、物を書く人たちがこの街を大切にし、応援してくれることは、何よりもありがたいことです。文字文化の看板に神保町を位置づけてくれることに、街は応えていかなくてはいけない。今後も我々はホスト側になって何かを企画し、東京都、行政、企業など多方面の関係者に頭を下げ、応援してもらえる環境を作り、皆から祝福されるやり方で街づくりをしていきたいですね。
  「本」って出会いみたいなもの。今まで本に縁がなかった人、親子連れ、シニア世代のご夫婦などにも街に来てもらい、いい本を1冊見つけて新しい分野のことに取り組んでもらえるといいですね。そこから街とのつながりができたら嬉しいです。

ナビブライター 茶畑美治子

▲店内には歴史書を始め、能や狂言などの伝統芸能の書物、美術書などがズラリ。料理好きの山さんの代から創めた料理本もあります。

山本店
神田古書センター1Fに店を構える、明治8年創業の神保町で一番の老舗古書店。司馬遼太郎さんや、池波正太郎さんなど、錚々たる歴史小説の作家が、小説の資料集めに通ったと言われています。能狂言、謡本、武道書、料理書、歴史書などの本が充実しています。

住所/神田神保町2-3
神田古書センター1階
TEL/03-3261-2661
営業時間/月〜土10:00〜19:00
日・祝11:00〜18:00
定休日/なし
HP/オフィシャルサイトはこちら
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